見えぬもの

長歌
咲く花は
色を尽くして
散りゆけど
雲に隠るる
月影は
見えぬ光を
なお宿す
夜のしじまに
衣擦れ
かすかに響き
白き背は
ほのかに浮かぶ
振り向けば
声なきままに
その瞳
何を秘めるや
問わぬまま
影のみ深し
招かれず
足はおのずと
闇へ行く
夢とも知らず
触れもせず
名さえ知らねど
月さえも
色を失い
花の香も
遠くなりゆく
ひとたびの
振り向く影に
心寄せ
知らぬ闇へと
恋い焦がれ
夜を待ちわび
明ける空
仰がぬままに
夜を選びぬ
反歌
雲の月
花は眠りて
夜の果て
振り向く人の
影のみ残る
