1945年8月19日 · モスクワ
ソヴィエト連邦外務人民委員 V・M・モロトフによるソヴィエトおよび外国報道機関代表に対する声明

ソヴィエト連邦外務人民委員 V・M・モロトフによるソヴィエトおよび外国報道機関代表に対する声明 モスクワ、1945年8月19日
ソヴィエト連邦は同盟国としての義務を果たし、8月9日、日本に対する戦争に参加した。日本の支配層は無条件降伏の要求を拒否し、これ以上の抵抗に何ら展望がないことが明白であったにもかかわらず、戦争を継続していたのである。
ソヴィエト政府は、日本の侵略と軍国主義の根源を速やかに除去し、日本軍を武装解除するとともに、日本の支配層が長年にわたり近隣諸国および諸民族に対する侵略戦争を遂行することを可能ならしめてきた政治的・軍事的諸条件を取り除くことが必要であると考えてきたし、現在もそのように考えている。
ソヴィエト連邦の対日参戦は、日本政府自身が遂行してきた政策の直接の帰結であった。ヒトラー・ドイツの敗北後、日本の指導者には、変化した国際情勢および軍事情勢から必要な結論を引き出し、これ以上の流血に終止符を打つ機会があった。しかし、彼らはこの機会を利用しなかった。
いまや日本政府は降伏条件の受諾を表明した。ソヴィエト政府は、この決定を戦争終結のために必要な一歩とみなす。同時に、日本軍があらゆる地域において抵抗を停止し、武器を置き、連合国の要求を履行するまでは、軍事行動が終了したものとみなすことはできない。
日本が降伏条件を完全に履行するまで戦闘が継続し、それによって新たな犠牲が生じることに対する責任は、抵抗の停止を妨げている日本の軍事指導者にある。
同時に、ソヴィエト政府は、日本の諸都市に対して、これまでに例を見ない破壊力を有する新兵器が使用された事実を看過することはできない。
8月6日、アメリカ航空隊は広島市に対して原子爆弾を使用し、8月9日には同様の爆弾が長崎市に対して使用された。現在得られている情報は、これらの都市において極めて大規模な破壊が生じ、住民の間に多数の犠牲者が出たことを示している。
ソヴィエト政府は現在、この新兵器、その作用の性質、ならびにその出現が戦争の遂行および国際関係にもたらし得る諸結果について最終的な評価を下すために必要なすべての資料を有しているわけではない。したがって、この問題について現時点で包括的な結論を下すことは時期尚早であろう。
しかしながら、一撃によって大都市の相当部分を、そこに居住する住民とともに破壊し得る兵器が出現したという事実そのものは、単なる戦争手段の新たな技術的改良としてのみ捉えることはできない。
ソヴィエト人民は、都市の破壊と民間住民の大量死が何を意味するかを、他の多くの国民以上によく知っている。戦争の年月に、数百のソヴィエトの都市と数千の居住地が破壊され、数百万のソヴィエト市民が、ドイツ侵略者の手によって、また戦闘、テロ、飢餓および占領の結果として命を失った。
まさにそれゆえに、ソヴィエト政府は、科学の発達によって数万の民間人を殺害することが技術的に可能となったという理由だけで、そのような殺害を平和達成のために必要な手段として認めることはできないと考える。
このような威力を有する破壊手段の出現は、その使用に対する責任について、諸国家に新たな問題を提起している。ソヴィエト政府は、これらの問題の意義は現在の極東における戦争のみに限定されるものではなく、今後、最も真剣な検討を必要とするであろうと考える。
その一方で、日本に対するソヴィエト連邦の立場は、明確かつ一貫したものである。
ソヴィエト連邦は、侵略と戦争、ならびにアジア諸民族の苦難に責任を負う日本軍国主義と、その政策のために自らも大きな代償を払い、現在も払い続けている日本国民とを区別する。
中国、朝鮮その他の諸国の人民は、長年にわたり日本の侵略、占領および暴力にさらされてきた。ソヴィエト連邦もまた、日本軍国主義の侵略政策の結果を経験しており、日本による攻撃の脅威のため、長期間にわたって極東国境に相当規模の兵力を維持することを余儀なくされてきた。
これらの事情は、戦争の終結とともに忘れ去られてはならない。日本の戦争犯罪人、および侵略戦争の準備と遂行に直接責任を負う者は、責任を問われなければならない。日本軍は武装解除されなければならない。侵略の道具として機能してきた軍事的・政治的諸組織は除去されなければならない。日本軍国主義の復活と日本による新たな侵略を不可能とする諸条件が作り出されなければならない。
しかし、日本国家および軍事機構の指導者の責任を、日本国民全体に機械的に転嫁することはできない。
数百万の日本の労働者、農民、勤労者、女性および子供たちは、満州の占領、中国に対する戦争、アメリカ合衆国およびイギリスへの攻撃、そしてドイツ敗北後の戦争継続を決定したのではない。彼ら自身が、日本の支配層によって遂行された政策の人質となり、いまその政策の結果を背負っているのである。
連合国の任務は、日本軍国主義を除去することであって、日本国民を滅ぼすことではない。
ポツダム宣言の諸条件は、日本国民を欺き、戦争へと導いた者の権力と影響力を除去すること、日本軍を完全に武装解除すること、ならびに戦争犯罪人を処罰することを定めている。同時に、これらの条件は、国家としての日本を消滅させることも、日本国民を隷属させることも定めてはいない。
ポツダム宣言に参加したソヴィエト連邦は、これらの原則に立脚する。
戦争の終結は、日本の侵略だけでなく、戦争によってもたらされた破壊の後で可能な限り、日本国民の苦難にも終止符を打たなければならない。
ソヴィエト政府は、極東における恒久的な平和は、日本軍国主義を存続させることによっても、日本国民を滅ぼすことによっても築くことはできないと考える。それには、日本が侵略政策を遂行することを可能にした原因を除去し、連合国の決定を履行し、日本の侵略が再び繰り返されることを排除する諸条件を作り出すことが必要である。
戦後の日本がいかなる形の体制をとるのか、また、これらの目的を達成するためにいかなる措置が必要となるのかは、連合国が、自ら引き受けた義務に従い、かつ形成されつつある情勢を考慮して決定すべき問題である。
ソヴィエト政府は、本日これらの問題をあらかじめ決定する必要があるとは考えていない。
現在、第一の課題は、日本軍の抵抗を速やかに停止させ、日本が降伏条件を履行し、戦争を最終的に終結させることである。
ソヴィエト連邦は今後も、極東における恒久的な平和と安全を保障し、侵略の源を除去し、世界の諸民族を現在の戦争へと導いた出来事が再び繰り返されることを許さないという必要性に立脚して行動するであろう。
